
東北(霊山から原発まで)
先日、初めての本州最北端に行った。
八戸から恐山へ、マグロで有名な最北端の大間岬、竜飛岬と、
下北半島と津軽半島を網羅し、青森駅から帰京した。
奥入瀬や弘前の桜は観光客にも人気で賑わっていた記憶があるが、
初めての半島は、寂れに寂れていて物悲しかった。
見捨てられた地の果て感。
始めに向かったのは霊場恐山。
八つの山に囲まれた宇曾利湖の白浜は極楽に、
火山ガスの排出する岩肌は地獄に例えられ、
この世とあの世の境目と云われている。
硫黄ガスが噴き出す荒涼とした賽の河原に風車がカラカラ回っていた。
宿坊は新しく清潔で、
磨き抜かれた朱色の器に入った精進料理はどれも自然の風味満点、美味しかった。
一堂に会した食堂で、白人の青年がひとり、黙々とお箸を使って食べていた。
彼はタスマニア生まれ、メルボルンで働いている25歳。
函館に始まり比叡山延暦寺まで、3か月の霊山めぐりをしているとのこと。
恐山の次は出羽三山に行くと言う。
興味を持ってくれて、日本人を代表してありがとう。
何だか嬉しい。
恐山を後に、長い間の風雪で作られた巨大岩の数々の仏ヶ浦を通り、
本州最北端、マグロで有名な大間へ。
大間マグロは美味しかった。
そして大間原発。
ガイドさんが複雑な胸の内を明かした。
“色々考えはあるし住民の中でも賛否両論。
でももし、大間原発が第2の福島になったら、
30キロ圏内、私たちはみな、この半島を捨てなければいけない。“
「あさこハウス」
原発の炉心から300mにある民家。
用地買収に決して応じなかったあさこさん。
68歳で突然亡くなり、現在は娘さんが継いで戦っている。
荒涼として何もない北の果てに、好都合とばかりに、
飴と鞭で住民を翻弄し、原発を誘致する。
あまりに酷すぎ、悲しすぎる。
都会に住む者は、決して他人事と思ってはいけないと思う。
恐山
仏が浦
大間