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井上ひさし「一週間」を読んで

2013/07/26


舞台は終戦後のシベリア、ハバロスク。
シベリア抑留の話は漠然とは知っていたが、
この本を読んで、その過酷さ、理不尽さを思い知った。

 

ロシア軍は、不可侵条約を反古にし、満州になだれ込み
国内を整備させるために日本人捕虜を捕まえ、強制労働させた。

 

一方、大本営は、関東軍を食糧難の日本に帰さず、
ロシアに任せたという。

 

また、戦争が終わっているのにかかわらず、
旧日本軍の身分制度を維持し、
自分たちは強制労働をせず、兵士から食べ物を搾取し、
一日中何もせず、ぶくぶく太っていた一部の関東軍の上官達。

 

自分たちに不都合があれば、
上官の命令には絶対服従という旧軍の鉄則を振りかざし、
戦争中と同様に乱暴をふるい、なぶり殺す。

 

テーマはひどく重くても、
井上ひさしの作品らしく、ユーモアがあり、
悲惨な状況の描写でも、時に吹き出してしまう。
登場人物も奇想天外、スケールも大きく楽しい。

 

寒さと飢えと過酷な労働、
理不尽な扱いに、無念のうちに亡くなっていった沢山の無名な兵隊達。

 

時代とはいえ、戦争を始めてしまった責任、
百歩譲って、
やむを得ずの戦争だったとしても、
負けを認めず戦争を止めなかった責任は、絶対取るべきである。

 

数百万の亡くなった動員された兵隊は被害者。
戦争を指揮した軍人は加害者。

 

あちらの世界に行っても、階級制度を捨てられず、
根拠のない優越感を持ち続けているA級戦犯たちと、
お国のためと洗脳され戦って亡くなっていった戦死者たちは、
靖国神社に一緒に祀られたくないだろう。

 

 

 

 

 

 

2年目のハイビスカスが、次から次へと咲き続けてくれる

 

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岩崎鬼剣舞

2013/07/19


ドキュメンタリー映画 『究竟の地 岩崎鬼剣舞の一年』 監督三宅流を
アップリンクという映画通のみ知る不思議な映画館で鑑賞した。

 

元来、私は伝統的行事を毎年続ける事を信条としているが、
伝統芸能には明るくなく、
鬼剣舞という言葉は初めて耳にする言葉であった。

 

そのため、映画はあまり関心なかったが、
監督が私の友人のお嬢さんの知人であるため、
私にとっても大切な彼女のため、興味半分に観に行った。

 

『究竟の地 岩崎鬼剣舞の一年』は、素晴らしかった。

 

大地に楔を打ちつけるごとく力強く舞う岩崎鬼剣舞。
その鬼剣舞を背景に、鬼剣舞を伝承していく人々の生活、心情が
東北、岩崎の風景の中に描かれている。

 

脈々と受け継がれている伝統芸能を通して、
暖かい血の通った岩崎の人々が、気負いもなく淡々と語り、登場する。

 

その優しさ、力強さ、明るさ、老若男女、年齢の枠を超えた絆、繋がり、
1300年の全てを継承していくという事。

 

次の時代に伝承していく舞について語る先達の言葉は、
難解なオシャレな言葉ではなく、朴訥として優しく、そして重みがある。

 

保育園児から高校生まで、大人たちの指導の下、日々練習し、楽しく舞う。
誰に言われるでもなく、当然のこととして、その伝統を身体に浸みこませていく。

 

大震災後に感じた、逆境に有っても、そのことを事実として受け止める事が出来る
東北人の芯の強さを、ここに感じた。

 

地域の共同体が日常でありながら、独立した個をしっかり保っている。
東北の究竟の地にあっても、世界に向けての広い見識を持ち、
自ら学びとった感性を、映画の中で人々が語っている。

 

そこに、ひっそりとカメラを向けた監督の三宅氏の深層に流れる思いを感じた。

皆様にもその感動を、http://www.kukkyouno-chi.com/

 

 

 

鬼剣舞グッズ; 酒、本

 

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会津藩

2013/07/12


「龍馬伝」以来、大河ドラマを久しぶりに見ている。
当時、福山雅治龍馬に会える日曜日が楽しみだった。

 

今回の「八重の桜」は、原発事故・大震災と、2代惨劇を背負って戦っている
福島県人にシンパシーを感じたので観たかった。

 

日本中に沢山ある原発の中、選ばれたように悲劇が襲い、
幕末にも、徳川幕府に断れず京都守護職を仰せつかってしまう。
今まで感じなかったが、福島はいつも悲劇のヒロイン。

 

特に最近、前半の山場、
会津の人々が虐められるのを見るのが辛い。
会津戦争、
鶴ヶ城の籠城場面。
白虎隊の飯盛山での自害。
婦女子の自刃での壮絶な最後。

 

龍馬が望んだ平和な維新は、叶わなかった。
会津藩が徳川幕府のスケープゴートとなった上の明治維新だった。

 

会津人は
ドラマでもあるように「ならぬことはならぬ」が信条のように
愚直で頑固で融通が利かないという精神性を持っているとの事。

 

悲劇の最期を遂げた会津藩の中で、
せめてともの救いは
西郷が感服した八重の兄の山本覚馬や、山川大蔵や弟の健次郎、妹の捨松、
後世に多大の影響を残した沢山の教育者を輩出したこと。

 

そして今回素敵な男優が沢山出ていて、日曜の夜、彼らに会えるのが楽しみ。
八重の兄、覚馬の西島秀俊、
悲劇の殿様、松平容保の綾野剛、
龍馬や勝海舟からも逸材と評価された神保修理の斉藤工、
八重の最初の夫、川崎尚之助の長谷川博己。

 

ドラマから遠のいていたら、
知らぬ間に素敵な男優が目白押し、
年甲斐もなく嬉しく華やいだ気分になっている。

 

一時、韓国ドラマを見て、日本には素敵な俳優がいないと嘆いていたが、
やっぱり日本男子、
美しくかっこいい。

 

 

 

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「最後だとわかっていたなら」 ノーマ・コーネット・マレック

2013/07/05


「最後だとわかっていたなら」 ノーマ・コーネット・マレック
“Tomorrow Never Comes” Norma Cornett Marek

 

If I knew it would be the last time that I’d see you fall asleep,
I would tuck you in more tightly, and pray the Lord your soul to keep.
If I knew it would be the last time that I’d see you walk out the door,
I would give you a hug and kiss, and call you back for just one more.

 

If I knew it would be the last time I’d hear your voice lifted up in praise,
I would tape each word and action, and play them back throughout my days.
If I knew it would be the last time, I would spare an extra minute or two,
to stop and say “I love you, ”instead of assuming you know I do.

 

So just in case tomorrow never comes, and today is all I get,
I’d like to say how much I love you, and I hope we never will forget.
Tomorrow is not promised to anyone, young or old alike,
And today may be the last chance you get to hold your loved one tight.

 

So if you’re waiting for tomorrow, why not do it today?
For if tomorrow never comes, you’ll surely regret the day
That you didn’t take that extra time for a smile, a hug, or a kiss,
And you were too busy to grant someone, what turned out to be their one last wish.

 

So hold your loved ones close today and whisper in their ear
That you love them very much, and you’ll always hold them dear.
Take time to say “I’m sorry,”… “Please forgive me,”… “thank you” or “it’s okay”.
And if tomorrow never comes, you’ll have no regrets about today.

 

日本語訳は
http://www.sanctuarybooks.jp/saigodato/poem.html

 

これは1898年に、アメリカ人女性が亡くなった我が子に捧げた詩。
9.11の同時多発テロの後、世界中にチェーンメールとして送られたもので、
日本でも東日本大震災の後、口ずまれた詩だそうです。

 

最近、学生時代に仲の良かった友人が二人亡くなった。
年賀状だけの付き合いになってしまっていたが、
心の親友のような存在だった。

 

いつでも会えると思っていたから、
会わずにもう数十年過ぎてしまっていた。
“貴方はとても大切な人だった”と言いたかったのに。

 

そして、父と母に伝えるチャンスを失った「ありがとう」は
棘となって私の胸に刺さったままである。

 

 

 

 

夏景色in 表参道

 

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