
反応工程
宮本研の”戦後三部作”のひとつ『反応工程』を紀伊國屋ホールに
観に行った。
1945年8月の終戦前夜、九州の化学工場で働く学徒動員たちの物語。
赤紙・脱走兵・憲兵・日和見教官・えばり腐った軍人・等々、
いつもの戦争物語で
正直、あまり引き込まれるような展開にはならなかった。
戦争が終わり数か月後、主人公の青年が工場に戻ってきて、
立ちすくむ場面で終わる。
想定内の展開であまり感動的ではなかったのだが、
観終わって不思議に涙がこぼれた。
終戦になって平和になっても、失われた尊い命、失われた時は帰ってこない。
戦争の理不尽さ・悲惨さ・人間の愚かさに、
昨今の日本の情勢を重ねて暗い気分になった。
あの時、日本中が二度と戦争はしないと強く誓ったはずなのに、、、。
また、演じている役者さんがみな若く、
演技を離れ、この状況をどう感じているのか聞いてみたかった。
古典を演じているような感じなのか、
戦争をファンタジーのように感じていないか、
それとも戦争が近づいているような感じを自分の事として捉えているのか。
観客はお年寄りが多かったが、
沢山の若い人に観てもらい、
想像力を働かせ、我が事として考え行動して欲しい。
貴方の未来を決めるのは貴方たちなのだから。